新NISAと住宅ローン控除の関係─税制優遇の重複と家計設計の注意点(1/2)

資産形成を進める上で、税制優遇制度の活用は非常に重要です。新NISAは「資産を増やす」ための非課税制度であり、住宅ローン控除は「税負担を減らす」ための還付制度です。どちらも家計に大きな恩恵をもたらしますが、併用する際には制度の仕組みと控除の重複に注意が必要です。

本記事では、投資スクール講師としての視点から、新NISAと住宅ローン控除の関係、併用時の注意点、そして家計設計の実践的なポイントについて詳しく解説します。

 

🧱 住宅ローン控除の基本構造(2025年時点)
住宅ローン控除(正式名称:住宅借入金等特別控除)は、住宅ローンを利用して住宅を取得した場合に、年末残高の一定割合を所得税・住民税から控除できる制度です。

主な条件(2025年現在)
(1)控除期間:原則13年間(新築の場合)
(2)控除率:年末残高の0.7%
(3)控除上限:最大35万円/年(新築・長期優良住宅の場合)
(4)控除対象:所得税→住民税(上限13.65万円)へ繰り越し可能
→ 控除額は「支払った税金の範囲内」であり、所得税が少ないと控除しきれない場合があります。

 

 

📊 新NISAとの関係と注意点
新NISAは、売却益・配当金が非課税になる制度です。つまり、課税所得が減らないため、住宅ローン控除の「控除対象となる税額」に影響を与えることはありません。

ポイント1:新NISAの利益は「課税所得に含まれない」
新NISA口座内の売却益・配当金は非課税
所得税の計算には含まれないため、住宅ローン控除の控除額には影響しない
→ 併用しても控除額が減ることはない

 

ポイント2:課税所得が少ないと控除しきれない
会社員で年収300万円前後の場合、所得税額が少なく、住宅ローン控除を満額受けられないケースも
新NISAの非課税メリットはそのまま享受できるが、控除余力が小さいと節税効果が限定的
→ 家計設計では「控除余力」を意識する必要あり