新NISAと確定申告の関係─申告不要の範囲と注意すべき例外(1/2)

新NISA制度は、非課税で資産運用ができる非常に優れた制度ですが、「確定申告が必要かどうか」という点については誤解されがちです。基本的には申告不要で運用できる制度ですが、特定の条件下では申告が必要になるケースもあります。

本記事では、投資スクール講師としての視点から、新NISAと確定申告の関係、申告不要の範囲、申告が必要になる例外、そして実務上の注意点について詳しく解説します。

 

🧱 新NISAの基本的な税制と申告不要の仕組み
新NISA口座で得られる利益(売却益・配当金・分配金)は、すべて非課税です。つまり、通常の課税口座であれば課税対象となる利益も、新NISA口座内であれば確定申告の対象外となります。

申告不要の理由
(1)金融機関が税務署に報告する義務がない(非課税扱い)
(2)利益が発生しても、税金がかからないため申告不要
(3)配当金も源泉徴収されず、非課税で受け取れる
→ 新NISA口座内での運用に限れば、確定申告は原則不要です。

 

 

📊 申告が必要になる例外ケース
1. 課税口座との損益通算を希望する場合
(1)新NISA口座では損益通算ができない
(2)課税口座で損失が出ていて、他の課税口座で利益が出ている場合は、確定申告で損益通算が可能
(3)新NISA口座の損益は通算対象外
→ 課税口座の損益通算を行う場合は、確定申告が必要

 

2. 課税口座での配当金・売却益がある場合
新NISA口座以外で運用している資産に利益が出た場合
特定口座(源泉徴収あり)なら申告不要だが、源泉徴収なし口座や一般口座の場合は申告が必要
→ 新NISAと課税口座を併用している場合は、口座種別に注意

 

3. 配当控除を利用したい場合
(1)課税口座で受け取った配当金に対して、配当控除を適用するには確定申告が必要
(2)新NISA口座の配当金は非課税のため、控除対象外
→ 配当控除を活用する場合は、課税口座の配当金に限る

 

4. 海外ETFの配当に外国税がかかっている場合
(1)VYM、HDVなど米国ETFの配当には10%の外国源泉徴収税がかかる
(2)新NISA口座では日本の税金は非課税だが、外国税は控除されない
(3)外国税額控除を受けるには、課税口座での運用+確定申告が必要
→ 新NISA口座では外国税の控除は不可。課税口座での運用が前提。