今回のテーマは「新NISAと“資産形成の出口設計”再考編」です。これまでの連載で扱ってきた取り崩し・贈与・再投資について、より深く、実践的に掘り下げていきます。
新NISA制度は、非課税で資産を育てるだけでなく、「どう使うか」「どう渡すか」「どう守るか」といった“出口設計”においても非常に柔軟な制度です。資産形成のゴールは「増やすこと」ではなく、「安心して使えること」。そのためには、出口戦略を早い段階から意識し、計画的に設計しておくことが不可欠です。
本記事では、投資スクール講師としての視点から、新NISAにおける出口設計の再考として、取り崩し・贈与・再投資のタイミングと戦略をより実践的に解説します。
🧱 出口設計の3本柱
→ 出口戦略は「使う・渡す・守る」の3つの視点で設計する
📊 取り崩しのタイミングと方法
1. 定額 vs 定率取り崩し
→ 生活費の安定性を重視するなら定額、資産の持続性を重視するなら定率
2. 相場に応じた柔軟な取り崩し
(1)相場が好調な年:多めに取り崩して旅行や贈与に活用
(2)相場が不調な年:現金クッションを活用し、売却を控える
→ 「相場×生活費×資産寿命」の3軸で調整する
🧠 贈与のタイミングと設計
1. 年間110万円の非課税枠を活用
(1)毎年コツコツと贈与することで、相続財産を圧縮
(2)子どもや孫の新NISA口座で資産形成を支援
2. 教育資金・結婚資金の一括贈与特例(要確認)
(1)2026年以降の制度改正により、使途制限付きの贈与特例が見直される可能性あり
(2)制度の動向を確認しつつ、柔軟に対応
3. 贈与は「金融教育の機会」にもなる
(1)単なる資金移転ではなく、「なぜ投資するのか」「どう使うのか」を共有
(2)家族で資産形成を語る文化を育てる
→ 贈与は「資産」だけでなく「価値観」も渡す行為

