新NISAと相続・贈与の考え方─家族への資産継承と制度上の注意点(2/2)

🛠️ 相続・贈与に関する注意点
1. 相続税の評価額
新NISA口座内の資産は「死亡時点の時価」で評価される
評価額が高い場合、相続税の負担が大きくなる可能性あり
→ 定期的に資産評価を確認し、相続税対策を検討することが重要

 

2. 贈与税の申告義務
年間110万円を超える贈与は申告が必要
現金贈与は記録を残す(振込履歴、贈与契約書など)
→ 証拠を残すことで、税務署からの指摘を回避できる

 

3. 家族間の資産共有
新NISAは個人口座のため、家族間での資産共有は制度上できない
ただし、資産状況の「情報共有」は可能であり、相続時の混乱を防げる
→ 家族会議や資産一覧表の作成をおすすめ

 

 

🧠 投資スクール講師からのアドバイス
私が講義で伝えているのは、「資産形成は“使う”だけでなく、“渡す”ことも含めて設計すべき」ということです。新NISAは生前の資産形成に非常に有効ですが、相続や贈与の場面では通常の税制が適用されるため、事前の準備が不可欠です。

特に、親世代が新NISAを活用している場合は、相続発生時の資産移管に備えて、家族で資産状況を共有しておくことが重要です。また、子ども世代への資産移転は「贈与+金融教育」の形で進めることで、次世代の資産形成力を育むことができます。

さらに、相続税対策としては「現金化+贈与」が有効です。非課税枠を活用しながら、計画的に資産を移すことで、税負担を抑えつつ家族の安心につながります。

 

 

✍️ まとめ:新NISAと資産継承は「生前設計」が鍵
新NISAは個人の資産形成に特化した制度ですが、相続・贈与の場面では通常の課税ルールが適用されます。だからこそ、生前からの設計と家族間の情報共有が重要です。

(1)新NISA口座は相続・贈与不可 → 課税口座へ移管
(2)贈与税の非課税枠を活用し、資金移動は可能
(3)相続税評価額に注意し、現金化+贈与で対策
(4)家族で資産状況を共有し、安心の継承を設計

 

次回は、
「新NISAと確定申告の関係」について、申告不要の範囲と注意すべき例外を解説します。どうぞお楽しみに。