今回は上級者向けのテーマ 「iDeCoのリスク管理・高度編」 をまとめました。
長期投資の本質である“リスクとの付き合い方”を、制度・心理・資産配分の3軸から深く掘り下げています。
iDeCo(個人型確定拠出年金)第21回(1/2)
リスク管理・高度編
──長期運用を成功させるための「戦略的リスク設計」
iDeCoは老後資金づくりにおいて最強クラスの制度ですが、
その成果を左右するのは 「リスク管理」 です。
長期投資では、
(1)暴落
(2)インフレ
(3)金利変動
(4)為替変動
(5)商品選択の偏り
(6)心理的なブレ
など、さまざまなリスクが複合的に影響します。
今回は、iDeCoを20〜30年運用するうえで欠かせない
高度なリスク管理の考え方 を体系的に整理します。
🧱 1. iDeCoのリスクは「市場リスク」だけではない
一般的に投資のリスクというと「価格が下がること」と思われがちですが、iDeCoには複数のリスクが存在します。
■ ① 市場リスク
株式・債券・REITなどの価格変動。
■ ② インフレリスク
元本確保型を選びすぎると、実質的な購買力が下がる。
■ ③ 金利リスク
債券価格は金利と逆相関。
金利上昇局面では債券価格が下がる。
■ ④ 為替リスク
米国株式・全世界株式には為替変動が影響。
■ ⑤ 流動性リスク
iDeCoは60歳まで引き出せない。
これは“最大の制約”であり、同時に“最大の強み”。
■ ⑥ 心理リスク
暴落時に積立を止める
→ 長期投資の最大の失敗パターン。
🧭 2. リスク管理の本質は「リスクを減らす」ことではない
多くの人が誤解していますが、リスク管理=リスクを減らすことではありません。
本質は、「取るべきリスク」と「取ってはいけないリスク」を区別すること」。
● 取るべきリスク
株式の価格変動
為替変動
長期的な市場の上下
→ 長期投資では“味方”になる。
● 取ってはいけないリスク
高コスト商品
元本確保型への偏り
商品選びの迷走
暴落時の売却
金融機関選びの失敗
→ 長期投資では“敵”になる。
🧱 3. 年代別の「リスク許容度」の考え方(高度編)
■ 20〜30代:リスク許容度が最大
株式100%でも合理的
暴落は“買い場”
時間が最大の味方
● リスク管理のポイント
商品を変えない
積立を止めない
全世界 or 米国株式で十分
■ 40代:リスク許容度の“ピーク”
所得が高く節税効果が最大
まだ時間がある
ただし教育費などの支出も増える
● リスク管理のポイント
株式70〜80%
債券を20〜30%
新NISAで流動性を確保
■ 50代:リスク許容度が徐々に低下
受取時期が近づく
暴落のダメージが大きくなる
● リスク管理のポイント
株式50〜60%
債券・元本確保型を増やす
企業型DCと合わせて全体最適化
■ 60代:リスク許容度が最小
受取戦略が主役
元本割れを避けたい時期
● リスク管理のポイント
株式20〜30%
債券・元本確保型中心
受取時期を調整して税最適化