新NISA制度の最大の特徴のひとつが、「生涯非課税投資枠1,800万円」という大きな枠の存在です。これは、つみたて投資枠と成長投資枠を合わせた総額であり、個人が一生涯にわたって非課税で投資できる金額としては、過去最大級の制度設計です。
しかし、この1,800万円という枠を「どう使うか」は、投資家のライフステージ、資産状況、家族構成によって大きく異なります。本記事では、投資スクール講師としての視点から、非課税枠の戦略的な使い方について、家族単位での活用法やライフステージ別の設計を詳しく解説します。
🧱 非課税枠の構造と制限
まずは制度の基本を確認しましょう。
生涯非課税枠:1,800万円(うち成長投資枠は最大1,200万円まで)
年間投資上限:360万円(つみたて投資枠120万円+成長投資枠240万円)
売却しても枠は戻らない(再利用不可)
非課税期間:恒久化(期限なし)
この枠は「使い切り型」であり、一度使った枠は売却しても戻りません。つまり、枠の使い方には慎重な戦略が求められます。
👨👩👧👦 家族単位での活用法
新NISAは「個人単位」の制度ですが、家族全体で戦略的に活用することで、より効率的な資産形成が可能になります。
1. 夫婦での活用
夫婦それぞれが1,800万円の枠を持つため、合計3,600万円の非課税枠が確保できます。
収入の多い方が成長投資枠を中心に活用し、安定収入の方がつみたて投資枠を活用するなど、役割分担が可能。
例:夫(40代・会社員)、妻(専業主婦)
夫:年間360万円(成長投資枠中心にETFや個別株)
妻:年間120万円(つみたて投資枠でインデックスファンド)
→ 家計全体で年間480万円の非課税投資が可能
2. 子ども名義での活用
新NISAは18歳以上が対象ですが、大学生や社会人になった子どもに口座開設を促すことで、教育資金や将来の資産形成に活用できます。
親が資金を援助し、子ども名義で運用するケースも増えています。
例:大学生の子どもに月3万円のつみたて投資
eMAXIS Slim オールカントリーを毎月積立
20年後には約1,000万円以上の資産形成も可能(年利5%想定)
3. 親世代との連携
60代以上の親が新NISAを活用することで、老後資金の形成や相続対策にもつながります。高配当株やREITを中心に、インカムゲインを得ながら資産を維持する戦略が有効。